こんにちは。磯子歯科医師の山口です。
本日はむし歯の進行の段階についてお話しします。
単純にむし歯という病名でも、5段階に分けることができます。
段階に分けることで、神経を取って根の治療をするかしないか、むし歯が大きいので抜歯を行うかを診断しています。
この段階分けに重要なのが歯の構造です。歯は三層構造になっており、外側からエナメル質・象牙質・歯髄という名称が付いています。
エナメル質は表層の最も固い組織、象牙質は中間層の黄色みのある組織・歯髄は痛みなどの感覚を司る神経や血管がある組織です。
1段階目は専門用語で「C0」と言います。
初期むし歯の段階で、歯の表面に白濁ができている状態です。
この段階では、むし歯を削って治療を行ったりするのではなく、フッ素を塗布し再石灰化を促したりします。
2段階目はエナメル質に止まっているむし歯です。
この段階までのむし歯は痛みがないですが、小さく穴が開いていることもあるので削り取って材料で埋める必要があります。
また、フッ素を塗布しても再石灰化が期待できないため、そのままにしておくとむし歯が進行してしまいます。
3段階目は象牙質に及ぶむし歯です。
この段階では、しみる症状が出たり飲食時などに痛みが出たりします。こちらもむし歯を削り取り治療が必要となりますが、範囲が大きい場合が多く詰め物などで治療します。
4段階目は歯髄に達しているむし歯です。
この段階は、激しい痛みを伴います。基本的にはむし歯菌に感染した神経を取り除き、根の治療を行う必要があります。むし歯の大きさによっては、根の治療を行っても奏功することがない場合、抜歯になるケースもあります。
5段階目は歯冠部(歯の歯茎より上に出てる部分)が崩壊し、根だけ残っている状態のむし歯です。この場合は、歯自体ではなく歯の周囲の歯ぐきや骨が痛むことが多く、抜歯を行うこととなります。
以上のようなむし歯の段階に応じて診断を行い、治療の選択を行います。