こんにちは。エムズ歯科クリニック下落合、管理栄養士の中澤です。
皆さんは最期の食事は何を食べますか?お寿司や焼き肉、ピザなど沢山食べ物が思い浮かぶのではないでしょうか?
実は、人は亡くなる直前、食べ物や飲み物をほとんど口にしなくなります。また、このような終末医療における食事のことを「看取り食」と言います。
「食べられないから何も食事を出さない」というのではなく「食べたいものを食べたいときに食べられる量を提供する」のが看取り食です。
先月、私の祖母が亡くなり「看取り食」について考えるようになりました。
祖母は入院してから食欲が低下し、医師からは胃ろう増設(お腹に穴をあけて胃に直接栄養を摂取させる方法)の提案もありましたが、本人はできるだけ口から食べたいとのことでした。飲み込む力・噛む力は弱っていましたが、まだ機能していたため医師は本人の意向を尊重したそうです。
それから水と牛乳、お粥を2~3口程度しか口にしておらず、体重もかなり減少してしまいました。「何か食べたいのある?」と何度聞いても「何もいらない」と言うばかり。
しかしある日突然「カニが食べたい」と言い出し、従兄弟が急遽カニを取り寄せてくれました(笑)カニの足1本分程度しか食べられませんでしたが「おいしい、おいしい」と何度も言って喜んでいました。その1週間後に祖母は亡くなりましたが、最期に食べたいものを食べられて幸せだったと思います。
最期の食事は「食べる量や栄養」ではなく「食べる喜びと楽しさ」が重要だと感じました。そして食事には「生きる力を与えてくれる」そのような力があるんだなと祖母の死を通して思いました。
外来や訪問診療の患者さんも「家族といつまでも同じ食事を、最期まで口から食べたい」という思いを持った方が多くいらっしゃいます。いつまでもお口から食事が取れるように毎日の歯磨きや口腔ケア、メンテナンスをしっかり行っていきましょう◎