歯科におけるAI/Big data
近年、盛んに言われている「AI/Big dataという言葉。もちろん、医療技術、歯科技術にも使われています。
医療技術、歯科技術におけるビッグデータ
まず、 ビッグデータと聞くと、「大量のデータ?」と思うかもしれません。しかし、正確に書くと データの量(Volume)、データの種類(Variety)、データの発生頻度・更新頻度(Velocity) からなっています。その逆は、スモールデータ、といいます。・・・難しいですよね。
ニュアンスを掴んで頂きたいので、ものすごく簡略化します。例えば、10個のリンゴがあって、一番大きいのはどれ?制限時間は1分。と言えば、皆さん、答えられると思います。しかし、100万個ある中から一番大きいのはどれ?制限時間は1分。と言われたら、難しいでしょう。
データ量は多ければ多いほうが正確になるのであるが、それを扱うのは現実的に難しい。だから、普段は、人間があつかえる量に絞って、データを扱います。これをスモールデータ、と言います。しかし、AIの進歩によって、人間が扱えない量のデータをAIに処理させる、と言うことが可能になってきました。
ここから、歯科の話に戻ります。数百万人の矯正治療のデータから、あなたの歯がどのように歯が動くのか。これを利用しているのが、アライン社によって開発された矯正装置、インビザラインです。※インビザラインは保険適用外です
2022年6時点、全世界で1200万症例のデータの蓄積があります。矯正用マウスピースというのは、他のメーカーも作っていますが、そもそも、データの蓄積がないメーカー、あっても少ないメーカーであり、インビザラインは、ビッグデータからのAI処理によって、歯の移動を予測し、それを歯科医師が最終チェックを行う、という工程で製作しております。
もう一つ、歯科におけるビッグデータの活用法が、デンツプライシロナ社のセレックという、かぶせ物や、つめ物などの設計を製作するソフトウェアです。これもビッグデータとAIによって、そのシステムが開発されており、患者様一人一人に適した、歯の形を提供しております。
- 1. 歯科医院で生かされている技術
- 1.1 歯科における三種の神器
- 1.2 近年の診断技術について
- 1.3 歯周再生療法(リグロス、エムドゲイン)
- 1.4 歯科治療に使う材料について
- 1.5 歯科におけるAI/Big data
著者経歴
佐藤優樹
- 2003 年 鶴見大学歯学部卒業
- 2006 年 エムズ歯科クリニック勤務
[主な所属・役職]
- 厚生労働省認定歯科医師臨床研修指導歯科医
- ICOI(International Congress of Oral Implantologists)指導医
- 日本顎咬合学会会員
- 日本口腔インプラント学会会員
- 日本歯周病学会会員