予防歯科(歯科治療ガイド)

予防歯科とは

ブラッシング(歯みがき)

歯ブラシの選択

歯みがきでまず大切なのは、自分に適した歯ブラシを選ぶことです。口のサイズに合わないものや歯ぐきの状態に合わないものは、かえって歯の状態を悪くすることがあります。

あまり大きくないものを

歯ブラシはブラシの植毛部が大きすぎると、口の中でこまかく動かせません。歯のすみずみ、とくに奥歯の方まで届く大きさのものを使ってください。

毛質はナイロン製が一般的

豚毛は泡立ちが良く、歯ぐきにもやさしいのですが、柔らかすぎて歯垢をとるには向きません。ナイロン製は、品質にムラがなく、衛生的です。

硬さに注意

歯ブラシ

歯垢をとるには、硬めのものがよいのですが、歯に炎症が起きているときは柔らかめのものにし、治り具合によって徐々に硬いものに替えていきます。どの歯ブラシが良いかわからない場合は、お気軽にご相談ください。

歯をみがくタイミング

歯をみがく目的の1つとして、「歯垢をとる」というのがあります。むし歯の原因である歯垢が歯に付着するのに約8時間、歯垢が固まり、歯ブラシでとれなくなるのに、約24時間かかります。よって、1日1回徹底的に歯みがきを行えばむし歯は防げます。しかし、1回の歯みがきで歯垢を完全に取り去るのは難しいので、歯みがきは毎食後しましょう。特に就寝前には、必ず磨くようにしましょう。昼間は唾液の分泌がさかんに行われ、細菌の繁殖が抑えられますが、寝ているときは唾液の分泌量が著しく低下し、細菌の活動が活発になるからです。

歯の正しい磨き方

歯垢を常に取り除いていれば、むし歯にはなりません。実際は、きれいに磨きましたという人でも約85%しか磨けていないのです。きちんと磨いているつもりでも、磨き残しは結構あるものです。
”なくて七癖・・・”といわれるように人にもそれぞれ欠点があります。これは、歯科衛生士に診てもらえばすぐにわかります。一度歯科衛生士に指導してもらいましょう。

まとめ

  • 歯ブラシが歯肉に触れても痛くないくらいの力で磨く
  • 歯と歯肉の境目に毛先を当てる
  • 歯ブラシは歯にまっすぐ90度に当てる
  • 一ヶ所で最低5回以上小刻みに動かす
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ブラッシングの方法

ブラッシングの方法には、主に4つの方法があります。

スクラッピング法

歯面に対して毛先を平行に当て、細かく動かすブラッシング法です。比較的容易に行うことができます。

スクラッピング法
スクラッピング法

バス法

歯ブラシの毛先を45度の角度で歯肉に当て、歯肉の溝に入るようにしながら、小刻みに動かすブラッシング法です。歯と歯ぐきの境目の清掃に効果的です。

バス法
バス法

フォーンズ法

上下の歯を噛み合わせた状態で毛先を90度の角度で歯面に当て、大きな円を描くように奥から手前へ動かすブラッシング法です。小児の歯の清掃に適しています。

フォーンズ法

磨きにくい部分の磨き方

① 歯と歯の間

歯ブラシのわきを使い、歯と歯の間に縦に当て上下に動かします。

歯と歯の間
歯と歯の間
歯と歯の間

② 歯と歯ぐきの境目・奥歯の噛み合せ

歯ブラシの全面を使い、歯に90度に当て小刻みに動かします。

歯と歯ぐき
歯と歯ぐき
歯と歯ぐき

③ 一番奥の歯の後

歯ブラシのつま先を使い奥歯の左右両側から磨く。

一番奧の歯
一番奧の歯
一番奧の歯

④ 前歯の裏側

歯ブラシを縦に使い、かかと部分で汚れをかき出すように動かす。

前の歯
前の歯
前の歯

子どものブラッシング

成長にあわせたブラッシング

上の歯が生え始めたら

ブラッシング水を含ませたガーゼや脱脂綿などを指先に巻き付け、歯の表面の汚れをやさしく拭き取って下さい。手にしたものを何でも口に入れたがる時期なので、歯ブラシを遊びの中に取り入れ、歯ブラシに慣れさせましょう。
また、お母さんは口の中を見る習慣を付けましょう。

1才になったら

少なくとも、朝と晩の2回くらいは小さなやわらかい歯ブラシを使って、やさしく歯面の汚れを取ってあげましょう。

1才6ヶ月〜2才頃

自我がだいぶ強くなり、一人で歯みがきをしたがります。不十分ですから、必ず後で見てあげましょう。
歯ブラシは、お子さんの口の大きさにあったものを選んで下さい。

3才過ぎたら

不十分ながら一人で磨けるようになります。しっかり磨けるよう訓練をはじめましょう。
乳歯のむし歯が急増する時期ですので、必ずお母さんが仕上げ磨きを行って下さい。磨いた後は、忘れずにほめてあげましょう。

上手な仕上げ磨き

  • お子さんをあお向けに寝かせ、頭をひざに乗せます。
  • 上下のくちびるを開き、よく歯が見えるようにします。
  • 楽しく、やさしく、磨きます。
  • 特に、歯と歯ぐきの境目、歯と歯の間、歯のかみ合う溝の中に、汚れがたまりやすくなっていますので、重点的に磨きます。
  • 歯ブラシは、ヘッドが小さく、毛先の短めのものを選びます。
  • 磨く順番を決め、磨き残しのないようにします。
ブラッシング
ブラッシング
ブラッシング

デンタルフロス

歯と歯の間の歯垢は、歯ブラシでは完全に取り除くことは出来ません。
歯間の清掃には、デンタルフロスという糸状のものを使います。歯間を清掃する物には歯間ブラシなどがありますが、歯間ブラシでは歯間部が狭くて入らない部分などに、デンタルフロスを使用します。

デンタルフロスの目的

  • むし歯、歯周病の原因になる歯垢を取る。
  • 歯ぐきをマッサージすることにより血行を良くし、ばい菌に対する抵抗力を強め、歯周病を予防する

デンタルフロスの使い方

① フロスを約40cmに切り、両手の間隔が10〜15cmくらいになるように両手の中指に巻き付けます。

② フロスを歯の間に入れ、根本から歯垢をかき出すイメージで動かします。
上の歯:親指と人差し指でフロスをつまむ。
下の歯:両手の人差し指をフロスに添える。

デンタルフロス
デンタルフロス
デンタルフロス

デンタルフロスの使用上の注意点

デンタルフロスは、歯科衛生士の指導のもとご使用下さい。
デンタルフロスを歯肉に強くあてすぎると出血や炎症を起こす原因になりますので優しく動かして下さい。


歯間ブラシ

歯と歯の間の歯垢は、歯ブラシでは完全に取り除くことは出来ません。歯間の清掃には、歯間ブラシという専用のブラシを使います。歯間の広さによって歯間ブラシのサイズを選んで下さい。

歯間ブラシの目的

  • むし歯、歯周病の原因になる歯垢を取る。
  • 歯ぐきをマッサージすることにより血行を良くし、ばい菌に対する抵抗力を強め、歯周病を予防する。

歯間ブラシ

歯間ブラシの使い方

歯と歯の間にブラシ部分を挿入し、前後にゆっくりと動かして清掃します。

歯間ブラシ
歯間ブラシ

歯間ブラシの使用上の注意点

  • 歯間ブラシは、歯科衛生士の指導のもとご使用下さい。
  • 歯間ブラシは適切なサイズのものをご使用下さい。歯間に合わない物を無理に挿入すると、歯や歯肉を傷める場合があります。
  • 植毛部分を手で回したり、歯間挿入後ブラシを回転させたりしないで下さい。毛が抜けたり、ワイヤーの耐久性が著しく低下します。
  • ワイヤー部分を曲げたり戻したりすると、ワイヤーが折れてしまうことがあります。

スケーリング

スケーリングとは、スケーラーという器具を使用し、外に見えている歯と歯肉の中に埋まっている歯の部分からプラーク(歯垢)や歯石を取り除くことです。歯周病を予防するためにも、日常のセルフケアで除去しきれずに残ってしまった汚れは、スケーリングにより除去する必要があります。スケーリング終了後に、歯垢によって汚染されたものを綺麗にし、滑沢な面に仕上げることは、ルートプレーニングといいます。

スケーリング

PMTC

PMTCとは「Professional Mechanical Tooth Cleaning」の略であり、専門家による歯面清掃のことをさします。
特殊な機械等を使って、通常のブラッシングではとれない歯に付いた汚れや歯石などを取り、ブラッシング指導をします。

  • 歯みがきをしてもらった後、特殊な薬品を使ってプラークの染め出しを行います。この後にみがき残しがある箇所のブラッシング指導を行いながら、きれいにプラークを除去します。
  • 特殊な機械を使って、歯の表面や歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目を清掃します。
  • 歯と歯ぐきの境目や、ポケット(歯と歯ぐきの隙間)に付着した歯石を取ります(スケーリング)。

PMTCはなぜいい?

機械での清掃は痛みもなく、歯に付いた汚れも驚くほどきれいにとれます。また、PMTC後は歯垢もつきにくくなります。定期的にPMTCを行うことにより、お口の健康を維持することもご検討ください。

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