訪問診療 歯科医院に通院できなくても、困らせません

訪問歯科診療とは、歯科医院への通院が困難な方を対象に、歯科医師や歯科衛生士が直接ご自宅や施設に伺い、治療やお口のケアを行うサービスです。お体が不自由なことを理由に、これまで歯科医院への通院をあきらめていらっしゃった方でも、食事や会話を楽しみ、快適に生活していくためのお手伝いをいたします。

訪問診療が可能な地域

訪問歯科診療

当院より半径16キロ圏内にお住まいで、通院困難な方が対象となっております。
*専門スタッフがおりますので、寝たきりの方、認知症の方でも対応可能です。

診療場所はご自宅や入所中の施設・病院などで行います。
*治療に際し、流しやコンセントをお借りする場合があります。

診療を受ける際は

①各種保険証
②飲んでいるお薬の内容がわかるもの(お薬手帳など)
③印鑑

をご用意ください。


歯科治療について

持ち運び可能な歯科治療用ポータブルユニットやレントゲンにより、ご自宅や施設のベッドで歯科医院と同等の治療が受けられます。

持ち運び可能な歯科治療用ポータブルユニット

(モリタ HPより抜粋)

入れ歯の作製・調整、むし歯の治療、歯周病の治療

例)入れ歯の作製・調整、むし歯の治療、歯周病の治療

高齢者に限らず、食べこぼしやわずかなむせ、食べられない食品が増える、お口の乾燥など、日常生活の些細な違和感を見過ごすと、しだいに噛む力や舌の動きが悪くなり、

・栄養摂取に支障をきたし、誤嚥性肺炎などのリスクが高まる
・滑舌が悪くなり、人との交流を避け家に閉じこもりがちになる
・認知症の進行が進む

などの弊害が生じると言われています。こうしたオーラルフレイルと呼ばれる歯・口の機能低下から始まる虚弱化(栄養状態・身体機能・社会性・精神性の低下)の予防や進行を遅らせるためには、定期的に歯科検診を受けることで問題を早期発見し、口腔機能の維持や回復などにむけた適切な対応をすることが求められます。

定期的に歯科検診を受けることで問題を早期発見し、口腔機能の維持や回復などにむけた適切な対応を

誤嚥性肺炎について

誤嚥性肺炎とは、食べ物や水分(唾液を含む)などが誤って気道内に入ってしまう(誤嚥)ことが原因で発症する肺炎のことです。肺炎は、厚生労働省の調べによると肺炎患者の約8割は65歳以上の高齢者です。また高齢者の内、入院中の肺炎における7割以上が誤嚥性肺炎であるとのデータもあります。すなわち高齢者は誤嚥性肺炎のリスクが高いと言えます。そのため日頃から誤嚥性肺炎に対する予防が必要となってきます。

・摂食・嚥下について

摂食・嚥下障害チェックシート 01

摂食・嚥下障害チェックシート 02

以上の項目に当てはまるものがあると、摂食・嚥下障害が疑われます。

摂食機能や嚥下機能が低下すると、食事がうまく取れず、誤嚥してしまう、栄養不足になってしまう、などが考えられます。誤嚥すると誤嚥性肺炎を生じる可能性が高くなり、発熱や呼吸困難になってしまい、入院する必要があったり、最悪の場合は死に至るケースもあります。

摂食・嚥下障害検査

口腔衛生について

ブラッシングでプラークを清掃することにより、むし歯や歯周病を予防します。日常的にケアをすることで難しい箇所の歯面清掃や粘膜清掃を行い、清潔な状態を保ちます。お口の中を清潔な状態に保つことで誤嚥性肺炎や循環器の感染症を防ぎます。

口腔衛生:ブラッシングでプラークを清掃

当院の口腔ケアでは以下のことを行なっております。

・お口の状況を診て、適切な口腔内清掃やアドバイスを実施
・ 日常的に清掃が難しい部位を専門的な技術で口腔ケア
・ 口腔内機能の維持や回復を目的とした口腔リハビリ
・ 入れ歯洗浄剤を用いた入れ歯の清掃・洗浄

週1~月2回の頻度で施設やご自宅に定期的にお伺いし、機能的口腔ケア・器質的口腔ケアの2方向からのアプローチにより、口腔機能の維持や誤嚥性肺炎を含む様々な感染症を予防します。


口腔ケアの目的

適切な口腔ケアを行うには、現在のお口の中の状態を正しく把握することが重要になってきます。口腔ケアの最大の目的は、QOL(生活の質)を高め、口腔から全身の健康を維持することです。「自分の口でおいしく食べる!」は高齢者だけでなく、すべての人にとって大きな楽しみであり、生きる意欲につながります。食べることが楽しくなれば、体力や免疫力が向上し、前向きな気持ちになります。

適切な口腔ケア

例え寝たきりであったとしても、口の中が綺麗になればピンク色の粘膜がよみがえり、痛みや不快感が解消されることで、表情が明るくなります。口腔ケアは、口の中の問題だけでなく、全身の健康、心理面への影響も大きく、QOL(生活の質)を向上させる大きな鍵を握っております。ぜひこれを機に、歯科医院によるプロフェッショナルな口腔ケアをご利用ください。

常に温かく、唾液によって潤い、食べカスがある口の中は、温度・湿度・栄養という細菌が繁殖するための3大条件が揃っており、細菌にとって最適な環境です。実際に、歯に付着した歯垢1mg中に生息する細菌の数は、なんと1億個以上!最近の研究で、口の中にいる細菌は、むし歯や歯周病だけでなく、血管を通って体全体をめぐることにより様々な全身疾患の原因になっていることが判明しています。

自力で歯を磨くことができない方や、飲み込む力が弱くなってしまっている方は、口の中の細菌が増殖しやすく、一度細菌が全身にまわってしまうと、免疫力が低下しているため重症化してしまうことが多いです。しかし、口の中を綺麗に保つことで細菌の数を減らし、そのようなリスクを減らすことができます。口腔ケアは、むし歯や歯周病、口臭予防に役立つだけでなく重要な感染症対策の一つであると言えます。


栄養相談について

摂食機能や嚥下機能の改善、低下を予防するために、歯科治療や口腔ケアは必要ですが、食べるため、飲み込むための筋肉や全身状態が悪いといくら治療をしても改善は認められません。健康的な体づくりで必要なのは栄養です。

年齢が若い間や普段からしっかりと食事を取れている場合は栄養がある程度不足していても、症状として現れにくいですが、あまり普段から食事をしっかり取れてない、もしくは持病がある方の栄養不足は、全身的な機能をかなり低下させてしまう恐れがあります。

栄養相談

当院には管理栄養士が在籍しており、栄養が不足している方への栄養相談、指導を行なったりします。



著者経歴

伊勢 一眞

伊勢一眞

  • 2018年 東京医科歯科大学歯学部歯学科 卒業
  • 2020年 エムズ歯科クリニック 入社
  • 2022年 エムズ歯科クリニック元住吉 副院長

[主な所属・役職]

  • 日本歯周病学会会員
  • 日本口腔インプラント学会会員