平安時代の口臭

担当: 歯科医師 渡邉 | 2024.02.02

こんにちは、祐天寺の渡邉です。

2月に入り立春を迎えましたが、まだまだ寒い日が続きますね。みなさん体調に気をつけてください。

 

新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症により、マスクを使用する機会が増えると「口臭」に気づく方が多くいます。食べ物や喫煙、加齢などによる口臭もあれば口呼吸や歯肉炎、歯周病などによる病的な口臭もあります。全身の病気によっては、口臭が出る場合もあります。医学・科学の進歩により、治療や口臭予防器具が現在はたくさん普及し改善しやすくなりましたが、昔は医学的な研究もなく治しにくい病気でした。日本における口臭や歯槽膿漏などかなり昔に文献として残されてします。今回は日本における口臭の歴史についてお話ししたいと思います。

みなさんは「病草紙」という絵巻物をご存知でしょうか。平安時代末期から鎌倉時代初期頃に描かれた絵巻物です。国宝や重要文化財に指定されている貴重なもので、口臭や歯槽膿漏についての記載がしっかりとされているものがあります。

この中で口臭に関する記載は、「口臭の女」で「息の香(臭い)あまり臭くて、――傍らに寄る人は臭さ堪え難かりけり」。若い下級女官が強い口臭に悩んでいる様子が描かれており、口臭は口腔内が不潔な場合、胃病の場合、進行した虫歯がある場合、歯周病による場合など、多様な原因で生じるとされていました。

また、「歯の揺らぐ男」では、歯周病(以前は歯槽膿漏と呼んだ)により歯がぐらついた庶民の男が、用意された食事を前に口を大きく開けて妻にその様子を見せている様子が描かれています。また並べられた飯や一汁一魚二菜が巧みに描かれ、当時の食生活の様子や内容も伺うことができます。

 

釈迦の教えに「口を清めよ」という教えがあります。仏教とともに日本にもオーラルケアが広まっていきました。オーラルケアにサボってしまうと「病草紙」のようになってしまいます。

日本の歴史を記録しており国宝にも指定されている「病草紙」は、京都国立博物館に所蔵されています。日本の文化に触れるとともに口腔の歴史にも触れてみてはどうでしょうか。

 

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