審美歯科とは

日本審美歯科学会では、「顎口腔における形態美、色彩美、機能美、の調和」と記載があります。

https://www.jdshinbi.net/about/education/outline_20010423.php

よって見た目だけの美しさだけではなく、よく噛めて日常生活で機能しなければなりません。それを達成するには、総合的な治療とスキルが必要になってきます。

EstheticとCosmetic

Cosmetic

いわゆる歯科でいう Cosmetic(コスメティック)とはわざとらしく並べられた歯や極端に白い歯など、全体として歯が浮いて見えるような形を指します。綺麗だけど人工的です。

Esthetic

Esthetic(エステティック)とは、全体的なバランスとして調和している状態です。いかに本物の歯に見せるかに焦点を置いています。

患者さんの希望もあるのでバランスをとって個人個人に合わせた治療を行うことが可能ですが、個人的にはEstheticを突き詰めて、まるで本物のような自然な美しい歯を目指すことの方が本来の人間的な美しさではないかと考えています。


生体模倣「バイオミメティック(biomimetic)」

バイオミメティックとは、歯科では軟組織、天然歯における機能・構造を忠実にコピーすることで性能の向上につなげる治療アプローチのことです。従来と比べて、現在の治療は、接着技術などの進歩により、必要最小限の処置で適切な効果をあげる治療が可能になりました。

そのような中、臨床の現場では、材料や機器の進歩とあいまって技術的に、より高い精密性とクオリティが求められており、その方向性は依然あった健全な軟組織・硬組織を忠実に模倣するというレベルまで要求されています。


自然な歯の形態、位置とは

自然で美しい歯には基準があります。その一つ一つを確認、塾考し、患者さんに合った総合的な治療計画を立案しています。

自然な歯の形態、位置とは

インザイザルエッジポジション

中切歯の切縁(真ん中の2本の歯の先端)が三次元的にどこに位置しているか確認します。

中切歯の縦横比(黄色)

この縦横比が75〜85%が自然で美しいと言われています。70%だと長い歯、90%だと四角い歯という印象になります。

歯肉の連続性(赤、オレンジ、青)

歯肉縁レベル[赤]、歯間乳頭レベル[オレンジ]、切端[青]における連続性を評価します。この段階で、ある程度の左右対称性も評価していくことになります。

ゴールデンプロポーション(緑)

正面観における前歯6本(犬歯から犬歯)中切歯・ 側切歯・犬歯の見え方(幅)を評価します。比率として1.6 : 1 : 0.618  が黄金比とされています。

エンブレジャー(白三角)

切縁にできる三角の空隙です。[白色で示す先の空隙]これが表現されない場合、ピアノの鍵盤のようなペタッとしたイメージの歯並びに映ります。

歯軸(ピンク)

歯の傾きのことです。中切歯はできるだけ左右対称に、2〜3度傾けるイメージになります。そこから側切歯・犬歯と傾きがやや強くなっていきます。

ゼニス、(赤)

正面から見た際の歯肉ラインの最頂点です。歯肉もバランスが重要です。


スマイルライン

スマイルライン

スマイルラインとは口角を上げて笑った時に見える前歯の先端を結んだ線のことです。

下唇のラインに沿って緩やかなカーブを描いていると自然で美しいとされています。


バッカルコリドー

バッカルコリドー

バッカルコリドーとは左右の口角と犬歯によって生まれたスペースのことです。

笑った時に黒い影となって見えます。この黒い影は小さい方が美しいとされています。



著者経歴

庄司 匡道

庄司匡道

  • 2013年明海大学歯学部卒業
  • 2014年昭和大学歯学部研修医
  • 2015年エムズ歯科クリニック入社
  • 2017年エムズ歯科クリニック弘明寺院長就任
  • 2022年エムズ歯科クリニック学術就任