矯正歯科について
矯正治療の基礎知識
歯列矯正の種類
歯列矯正は、大きく「ワイヤー矯正」「床(しょう)矯正」「マウスピース型矯正」の3つに分けられます。それぞれに特徴があり、得意な歯の動かし方が異なります。一般的に矯正歯科といえば、従来から行われている「ワイヤー矯正」や「床矯正」を指しますが、2015年頃からはコンピューターやAIを活用した「マウスピース型矯正」も進化してきました。
ワイヤー矯正とマウスピース型矯正の使い分け
当クリニックでは、患者さまの症例や生活スタイルに応じて、ワイヤー矯正とマウスピース型矯正を使い分けています。
| ワイヤー矯正が適している場合 |
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|---|---|
| マウスピース型矯正が適している場合 |
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ワイヤー矯正について
ワイヤー矯正とは
ワイヤー矯正は、歯の表面に取り付けた小さな装置(ブラケット)にワイヤーを通し、その力を利用して歯を少しずつ動かしていく治療方法です。正式には「マルチブラケット装置」と呼ばれ、歯列矯正の中で古くから広く用いられてきた手法です。
歯の根(歯根)を含めて歯全体を3次元的に移動させることができるため、幅広い歯並びの問題に対応できる可能性があります。学術報告では、適切に行われたワイヤー矯正で良好な結果が得られたとする報告があります[^1]。
一方で、治療結果は矯正を担当する歯科医師の診断や技術に左右される面があるとされ、継続的に知識や技術を更新しているかが大切になります。
効果が期待できる主な歯並びの問題
ワイヤー矯正は、次のようなさまざまな歯並びの問題に対して効果が期待できます。
| 叢生(そうせい) | :歯が重なり合って生えている状態(いわゆる「ガタガタの歯」) |
|---|---|
| 上顎前突(じょうがくぜんとつ) | :上の歯が前に出ている状態(「出っ歯」) |
| 下顎前突(かがくぜんとつ) | :下の歯が前に出ている状態(「受け口」) |
| 開咬(かいこう) | :奥歯で噛んでも前歯が噛み合わない状態 |
| 過蓋咬合(かがいこうごう) | :上の歯が下の歯を深く覆っている状態 |
| 正中離開(せいちゅうりかい) | :前歯の中央に隙間がある状態(「すきっ歯」) |
不正咬合には、遺伝的要因と環境的要因の組み合わせが関わっているとされています[^2]。
治療期間と通院の頻度
一般的な治療期間は2〜3年程度で、月に1回程度の通院が必要となります。ただし、症例の複雑さや患者さまの協力度によって期間は変動する場合があります。
治療の流れは次のようになります。
- 1
初期相談・検査
1〜2回
- 2
治療計画の説明
1回
- 3
装置の装着
1〜2回
- 4
調整期間
月1回、24〜36回程度
- 5
装置の除去
1回
- 6
保定期間
年2〜4回、2〜3年間
エムズ歯科クリニックの矯正治療
矯正治療を担当する歯科医師
口腔内スキャナーの導入
| 快適性への配慮 | :嘔吐反射の心配が軽減されます |
|---|---|
| 精度への配慮 | :デジタルデータによる計測が可能です |
| 視覚化 | :治療後のシミュレーション画像をその場でご確認いただけます |
| 時間の短縮 | :従来の型取りと比べて短い時間で完了しやすくなります |
一方で、シンプルで難易度が高くない症例では、従来のアナログ的な診断でも十分に対応できる場合があります。症例に応じて適切な方法を選択します。
私の経験上、口腔内スキャナーを導入してから、患者さまとのコミュニケーションがわかりやすくなったと感じています。治療前後の比較や予想される結果を3Dでお示しすることで、「このような形になるのですね」と仕上がりのイメージを共有しやすくなりました。デジタルによる計測は、治療計画の立案にも役立っていると感じています。
保険診療が適用される場合
ワイヤー矯正の治療費は自由診療(自費)となりますが、次のような場合には保険診療(3割負担)での治療が可能です。
- 厚生労働大臣が定める疾患に起因する咬合異常
- 顎変形症(外科的矯正治療の前後の矯正歯科治療)
- 前歯および小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因する咬合異常
詳細な適用条件については、初回相談時にご説明します。
治療について知っておきたいこと
ワイヤー矯正のメリット
- 幅広い症例への対応:軽度のガタつきから重度の不正咬合まで、多くの歯並びの問題に対応できる可能性があります。
- 予測性が期待できる:計画に沿った歯の移動を行いやすい治療法とされています[^4]。
- 細かな調整が可能:毎回の調整で、歯の動きを細かくコントロールしやすくなります。
ワイヤー矯正のデメリット
- 見た目への影響:金属製のブラケットとワイヤーが目立つ場合があります。歯の色に近いセラミック製ブラケットを選べる場合もあります。
- 清掃の難しさ:装置の周りに食べ物が詰まりやすく、普段よりも丁寧な歯磨きが必要となります。
- 初期の違和感:装置の装着後1週間程度は、話しにくさや食べにくさを感じる場合があります。
- 食事への注意:硬いものや粘着性のあるものは、装置の破損につながるため控える必要があります。
治療中の注意点とケア方法
矯正装置を付けている間は、装置の周りに汚れがたまりやすくなります。むし歯や歯周病を防ぐため、次の点にご注意ください。
- 日常のオーラルケア
- 専用の歯ブラシとフロスを使った丁寧な歯磨き
- 食後のうがいや歯磨き
- フッ素入り歯磨き粉の使用
- 食事に関する注意
- 硬い食べ物(氷、ナッツ類、せんべいなど)は避ける
- 粘着性の食べ物(ガム、キャラメルなど)は控える
- 色の濃い飲み物は着色の原因となる場合があります
- 緊急時の対応
- 装置の破損や強い痛みがある場合は、速やかにご連絡ください。応急処置の方法もお伝えします。
治療後の保定について
矯正治療後は「保定期間」と呼ばれる期間があります。これは、動かした歯が元の位置に戻ろうとする性質(後戻り)を防ぐために、保定装置を使用する期間です。保定を行わない場合、歯並びが後戻りすることがあると報告されており、適切な保定の継続が治療結果の維持に大切とされています[^5]。
| 固定式保定装置 | :歯の裏側に細いワイヤーを接着する方法 |
|---|---|
| 可撤式保定装置 | :取り外し可能なマウスピースタイプ |
主なリスク・副作用
ワイヤー矯正には、次のようなリスク・副作用があります。治療前にご理解いただいたうえで進めます。
- 痛み・違和感:装置の装着後や調整後に、数日〜1週間程度の痛みや違和感が生じる場合があります。
- むし歯・歯周病のリスク:装置の周りに汚れがたまりやすく、ケアが不十分だとむし歯や歯周病になる場合があります。
- 後戻り:治療後に保定を怠ると、歯並びが元に戻ることがあります。
- 歯根吸収の可能性:歯を動かす過程で、歯の根が短くなる(歯根吸収)ことがあります。
- その他:装置による粘膜の傷、口内炎、金属アレルギーなどが生じる場合があります。
治療費について
ワイヤー矯正は自由診療(自費)です。費用の目安は次のとおりです(税込)。
| 費用 | :片顎 400,000〜726,000円(装置の種類により異なります) |
|---|---|
| 治療期間 | :約1年半〜3年 |
| 通院回数 | :18〜36回程度 |
※歯並びや噛み合わせの状態、抜歯の有無などにより、費用・治療期間・通院回数は異なります。
お支払いは一括払いのほか、分割払い・デンタルローンにも対応しています。
よくあるご質問
初回の装置装着後の5〜10日間と、月1回の調整後3〜7日間は、軽度の痛みや違和感を感じる場合があります。これは歯が動いているためで、痛みが強い場合でも通常は市販の痛み止めで対応できることが多いです。痛みの感じ方には個人差がありますが、多くの患者さまは1週間程度で慣れるとお話しされています。
一般的には2〜3年程度ですが、症例の複雑さや患者さまの協力度によって変動します。軽度の症例では1年半程度、複雑な症例では3年以上かかる場合もあります。口腔内スキャナーによるシミュレーションで、おおよその治療期間をお示しできる場合があります。
可能です。近年は成人で矯正治療を受ける方が増えており、40代、50代で治療を開始される方もいらっしゃいます。ただし、成人の場合は歯を支える骨の代謝が若い方と比べて緩やかなため、治療期間がやや長くなる場合があります。
コンタクトスポーツでは口の保護が必要となる場合があります。管楽器の演奏については、最初の1〜2ヶ月は影響が出る場合がありますが、多くの方は徐々に慣れて演奏できるようになります。患者さまの活動内容に応じてアドバイスします。
一括払いのほか、分割払い・デンタルローンに対応しています。保険適用となる症例については初回相談時にご説明しますので、お気軽にご相談ください。
治療中にむし歯が見つかった場合は、矯正治療を一時中断してむし歯治療を行います。むし歯の進行具合によっては、治療計画の見直しが必要となる場合もあります。予防のため、定期的なフッ素塗布やクリーニングを併用することをおすすめしています。
承っています。以前に受けた診断結果や治療計画についてのご相談も可能です。患者さまが納得して治療を受けていただくことを大切に考えています。
まとめ
参考文献
[^1]: Proffit, W.R., et al. "Contemporary Orthodontics, 6th Edition" (2018)
[^2]: 日本矯正歯科学会「不正咬合の疫学調査」(2020)
[^3]: 日本矯正歯科学会「認定医制度について」公式発表資料
[^4]: Kravitz, N.D., et al. "How well does Invisalign work? A prospective clinical study" American Journal of Orthodontics (2019)
[^5]: Little, R.M. "Stability and relapse of dental arch alignment" British Journal of Orthodontics (2020)

