補綴物と咬合

補綴物とは、人工の歯(つまり、かぶせ物やつめ物、入れ歯、ブリッジ、インプラントなど)のことを言います。なぜ、咬合は大事なのでしょうか?異常なまま、放っておいてはいけないのでしょうか?

咬合とは

一言で言えば、様々な状況下で、上下の歯がどう当たり、どう離れるか。と言うことです。そこには、一本一本の歯の当たり方から、上顎と下顎の位置、その動きをコントロールする、筋肉と神経・脳、が絡んでいます。

咬合とは

上下の歯の当たり方、離れ方、それが咀嚼、嚥下、発音と言った口の持つ機能を左右する

食事の時の咀嚼運動では、上下の歯は当たる寸前で、また離れていきます。氷やお煎餅などを咬んでも、上下の歯は衝突する前に止まります。お手元にあったらやってみてください。他のものを食べても、上下の歯の間には食物が挟まったままの状態で咬み込むのを止めているはずです。発音の時も、通常、上下の歯はあたりません。嚥下の時は、上下の歯は、通常咬んだ状態になります。

上下の歯の当たり方、離れ方、それが咀嚼、嚥下、発音と言った口の持つ機能を左右する

良い咬合でないと、補綴は長持ちしない

かみ合わせるということは、力を発揮するということです。その力は、歯や、歯についているかぶせ物などの全ての人工物、歯を支える骨、顎の関節、に負担としてかかり、その力は、筋肉が発揮します。もし、歯が人より弱い、歯をたくさん失った、なぜ、私はこんなに人よりも歯医者に通っているのだろう、と言う場合、かみ合わせが悪いのかもしれません。

全ての歯が、バランス良く咬むことで、それぞれの歯は助け合っています。しかし、ちゃんと咬んでいない場合、たとえば奥歯しか咬んでいないような場合、奥歯から虫歯になる、歯周病になる、そして抜けていきます。そして、天然の歯が、耐えきれずに、壊れた、もしくは抜けたところに、人工物を入れて咬めるようにしたとして、それは長持ちするでしょうか?答えは、NOです。

天然の歯は、非常に優れた構造をしており、一生持つポテンシャルを秘めています。しかし、それが何らかの原因で壊れたところに、人工物を入れても、長持ちしないと言うことはわかると思います。人工物が天然の歯を上回ることはないからです。だから、せめて、天然の歯が壊れるような環境を、取り除いてから、人工の歯を入れたほうがよいでしょう、ということになります。



著者経歴

佐藤優樹

佐藤優樹

  • 2003 年 鶴見大学歯学部卒業
  • 2006 年 エムズ歯科クリニック勤務

[主な所属・役職]

  • 厚生労働省認定歯科医師臨床研修指導歯科医
  • ICOI(International Congress of Oral Implantologists)指導医
  • 日本顎咬合学会会員
  • 日本口腔インプラント学会会員
  • 日本歯周病学会会員