成人矯正
成人矯正とは大人になってから、正確にいうと体の成長発育がおおむね終了してから行う矯正治療です。顎の成長も止まっていますので、歯の位置や向きを修正していくことで良い歯並びを目指します。
小児の矯正治療との違い
成人は顎の成長がほとんど終わっていますので、その時点での顎の大きさの範囲内で歯を動かしていく必要があります。そのため、歯の大きさに対して顎が小さく、歯が収まりきらないようなケースでは、スペースを確保するために歯を少し削ったり(IPR)、歯を抜いたり(便宜抜歯)する場合があります。
治療方法
歯は弱い力を与え続けることで動いていく作りになっています。適切な力をかけるために装置が必要になりますが、大きく分けるとマウスピース、ワイヤーの2種類があります。
リスク
治療上、歯を少し削ったり、抜歯が必要になるケースがあります。また治療中に痛みが生じる場合もあります。歯の移動に伴う痛みや、装置と粘膜が擦れることで起こる痛みであれば一過性なので問題ありませんが、移動の刺激により歯の神経が炎症を起こしてしまったり、歯の根っこが吸収されて短くなってしまう可能性もあります。
保定
矯正治療が終わっても放っておくとまたもとの悪い歯並びに戻っていきます。これを「後戻り」と言います。そのため、治療後は後戻りを防ぐため保定装置というものを使用していただく必要があります。いくつか種類がありますが、どれが適切かはケースによって異なります。
外科的矯正治療
極端な出っ歯や受け口など、歯を動かすだけでは対応できない歯並びというのも少なからずあります。その場合は、手術を行い顎の骨自体の大きさや位置を修正する必要があり、この治療を外科的矯正治療といいます。手術の際は基本的に数日の入院が必要になり、また手術の前後に通常の矯正治療も行う必要があります。必要と判断すれば大学病院へ紹介することができますので、一度ご相談ください。
著者経歴
松尾 一樹
- 2016年 東京医科歯科大学歯学部歯学科 卒業
- 2017年 エムズ歯科クリニック 入社
- 2021年 エムズ歯科クリニック能見台 院長
[主な所属・役職]
- 日本歯周病学会会員
- 日本口腔インプラント学会会員